ばらばら兄いもうと2

<短大生遺体切断>両親が手記 兄妹の「不仲」報道否定
(毎日新聞 - 01月24日 21:20)
 東京都渋谷区の短大生、武藤亜澄(あずみ)さん(20)が次兄の予備校生、勇貴容疑者(21)に殺害された事件で、2人の父衛さん(62)と母洋子さん(57)が24日、勇貴容疑者の弁護士を通じて手記を公表した。両親が克明に心境を明らかにしたのは初めてで、息子の凶行を「理解できない」とする一方で、「自由奔放」な亜澄さんの言動が「両親を悩ます元凶と思い込むようになったのではないか」と動機を推し量っている。

 事件後、2人は不仲で3年間ほとんど会話していなかったと報道されたが、両親は「決して険悪ではなかった」と否定。亜澄さんが通った短大は「勇貴が懸命にパソコンで探し、やっと入学期限に間に合った」とのエピソードを紹介している。

 親から見た2人の性格にも触れ、勇貴容疑者は「優しく、家族に暴力を振るうことはなかった」、亜澄さんは「気が強く、自分から非を認め謝ることのできない子供だった」と説明。「もし、(亜澄さんが勇貴容疑者に)謝ってさえいてくれれば、このような凶行に至らずに済んだのではないか」としている。

 弁護士によると、両親は事件から20日以上がたち、気持ちが落ち着いてきたため手記の公表に踏み切った。勇貴容疑者は弁護士以外との接見が禁止されており、両親とは面会していないという。【佐々木洋】

 両親の手記全文は次の通り。

  ◇  ◇  ◇  

 この度は息子勇貴の事件によって、世間の皆様に対し、大変なご心配をおかけしお騒がせ致しましたことを、紙面をお借りして心よりお詫(わ)び申し上げます。

 私ども家族にとりましては、事件を知ったこの正月3日から今日まで、正直申し上げ、どのくらいの日時が経(た)ったものか、正確には考えられない精神状態でございます。

 娘亜澄の死亡と二男の凶行とがどうしても結びつかないということが、私ども家族の苦しみ悩むところでございます。家族でさえこの情況でありますから、世間の皆様にはご理解できないことは尚更(なおさら)のことと存じます。

 事件から約20日が経ち、警察のお調べが進むにつれて、事実については少しずつ解明されてきていますが、何故息子があれほどまでの凶行をしてしまったのかという点につきましては、未(いま)だに理解できないのです。

 しかし、時間の経過にともない、お陰様で少し落ち着いて考えることができるようになりましたので、現在の心境を少ししたためさせていただきます。

 そこでまず、亜澄と勇貴の関係についてですが、「3年間も口をきかなかったような冷たい関係」と報道されていますが、それは若干事実と違います。亜澄が在籍していた短大の入学についても、勇貴が懸命にパソコンで探し当て、やっと入学期限に間に合ったという経緯からも、兄妹の関係は決して険悪というものではありませんでした。

 しかし、亜澄の他を顧みない自由奔放な性格と言動は、家族から理解されていなかったのは事実です。こうした亜澄の生活態度を見ているうちに、亜澄と一歳しか違わない勇貴は、妹が両親を悩ます元凶と思い込むようになったのではないかと思います。

 また勇貴の性格ですが、優しく、家族に対し暴力を振るったりするようなことは一度もありませんでした。しかし、残念なことに、妹の亜澄は大変気が強く、絶対と言っていいくらい自分から非を認め謝るということのできない子供でした。

 とはいえ、二人とも私たちにとっては掛け替えのない子供たちです。今となっては、何故あの時、亜澄が「ご免なさい」と兄に謝ってくれなかったのか、もし、謝ってさえいてくれれば、兄も我に返り、このような凶行に至らずに済んだのではないか……、と今更ながらせん無い繰り言を繰り返す日々でございます。

 今後私ども夫婦は、生涯にわたり亜澄の霊を弔うとともに、勇貴が一日も早く更生できるように支え続けたいと考えております。

 どうか皆様、私たちがもう少し心の余裕が持てるまでお時間をいただきたく、伏してお願い申し上げ、本手記をお届けさせて頂いた次第です。

平成19年1月24日

武藤衛

武藤洋子

手記全文。
これは、言ってはならないことだと思うけれども、両親は本当に子供のことを愛していて、愛しているあまりに盲目になって、本当の彼らに気がつかなかったんだと思う。それは、第一に2人が無能だったっていうこと。
兄は、とても歯科大学に入れるような頭ではなく、妹は俳優になれるようなポテンシャルの持ち主でなかった。それが両親の期待にこたえようとして、無能なりに頑張った結果がこれだと思う。やりきれねえ。
両親が、彼らふたりの無能に気付いて、彼らふたりについて、あきらめてさえいればこんなことにはならなかったんだと思う。
愛情が人を駄目にすることだってあるし、万能じゃないよ。